創業60年まであと2年。昭和色濃く残るクラシック名曲喫茶「ウイーン」
クラッシックのことは解らない森泉です。
クラッシック喫茶は2軒しか行ったことがありません。1軒目に行ったのは渋谷の道玄坂にある名曲喫茶ライオン。2軒目が狸小路7丁目のウィーンです。
名曲喫茶ウイーン
(狸小路7|喫茶店)
1959年創業の名曲喫茶ウイーン。お隣はビリヤード場と占い館。新しいお店が増えている7丁目ですがこの一画は完全に昭和のままです。
店頭にはブルーの看板と入口の横に小さく「ウイーン」の文字が。今年(2017年)の初めまでは店舗入口のテントがあったのですが、いつの間にか無くなっていました。
なので夏の景色と冬の景色がかなり違います。
狸小路ってきくと、7丁目までアーケードがあるって思いがちですが、丁目ごとに屋根の造りが違うのもあって……
こんな感じでもっさりと雪がつもっています。
階段で地下へと降ります。
ドアを開けると店内に響き渡るクラッシック音楽。四人がけの席もありますが、ほぼすべての席は二人がけで店内奥のスピーカーを向いています。
以前はグリーンのベロア素材だったのかなと思われるソファ。毛足が抜けてすっかり色は変わっていますが擦り切れてはいません。
「ゆっくりしていきなさい」と言っているかのように深く深く沈みこむソファが身体に心地良いです。
お客様は単独男性が多いです。音楽を楽しむ場所ですから、新聞を読んだり、本を読んだり、目を閉じられたりと皆さん静かに過ごされています。
おしゃべりしている方は誰一人いません。オーダーを伝えるときも自然に小声に。
コーヒーのメニューはブレンドとアメリカン。コーヒーは酸味のあるタイプです。
13時までに入店、または13時半までに退店する場合はコーヒーの値段が割引になります。メニューは基本的な純喫茶メニューですが、ホットカルピス、ホットオレンジ、ホットレモンと種類は多め。
一品だけある軽食メニューはトーストです。薄切りでも厚切りでもない六切りのパンを、焼いてバターを塗っただけのシンプルなものです。
ワタシが子供の頃、なぜか週末の朝だけはお米ではなく食パンの日でした。
縦型トースターで焼いたパリッとした角食(北海道弁)にマーガリンを塗り、角砂糖を入れた紅茶と一緒に。
そしてテレビでは「題名のない音楽会」が流れていました。狭い公営住宅にぎゅうぎゅうの5人暮らしでしたが、家族全員がそろう週末だけは妙に気取っていたことを懐かしく思い出します。
居心地がよくていつまでもいたい場所ですが、閉店は18時。そして禁煙です。
たぶんこのお店のメインは店内奥にあるスピーカーなのですが、写真に入りきっていません…。
何も解らないワタシがこのお店を紹介してしまって良いものなのかと迷いましたが懐かしさを伝えたくて紹介しました。
ずっと通っていらっしゃる方には懐かしさも郷愁もありませんよね。そこにあるのはいつまでも変わらない、さっぽろ、狸小路7丁目、地下、ウイーンです。
(文と画|森泉サヲリ)
ウィーンさんは閉店いたしました。