(コラム&エッセイ)忘れられないすすきのの名店・迷店 第6回「ポエム社」
「ただいま係のものが〜」
一部のすすきのファンに圧倒的な反響のある今は無き名店シリーズ。(一部と言うかもろアラフォーアラフィフ世代からだけど)
6回目となる今回はあの伝説の居酒屋を紹介したいと思います。
ポエム社
(南7西2)
この何屋かわからない店名のポエム社は、南7条通り沿いの老舗ショットバーのあるビル、豊水ビルの502号室にありました。
号室というだけあって、店内(室内)は、まさに店舗用ではなくて住居や事務所用の一室を改装したもので、初めて連れて来られた時はVシネとかで見る”違法マンション麻雀”とかを即座に思い浮かべてしまいました。
今でも満龍の上のセントラルコーポとか南1条の第2三谷ビルなんかに行くと、前時代的なごった煮雑居ビル感でワクワクが止まらない世代の私は、このポエム社の胡散臭さにいい意味で一気に虜になりました。
店主のちかしさんのタッてるどころか反り返ってるくらいのキャラで、老若男女ありとあらゆる職種のお客さんたちから熱狂的に指示されておりました。
お店のスタッフはちかしさん一人にも関わらず、オーダーを受けると「ただいま係のものが〜」とさも他にもスタッフがいるていで応対しておりました。
常連になると、勝手に作って食べてる人とかもいたり、ついでにその常連客が洗い物とか配膳を手伝っていたりして、商業施設というよりは友達の家に集まって宅飲みしてるような、そんな唯一無二の魅力をもつお店でした。
正式な業態は、一見ざっくり飲み屋としか言い表せないカオス空間でしたが、納豆オムレツ、焼き魚、ジンギスカンなどしっかりとフードも出しており(しかも結構美味しい)、そうなると業態の括りでいうと居酒屋なんだろうと思います。(ショップカードにも”風変わりな居酒屋”って書いてたし)
営業時間も深夜0時(ショップカードにはPM11:59〜)から朝8時まで、そして日曜営業(定休日は水曜日)ということで、当時夜の仕事をしていた私にとって、使い勝手がよかったです。そういう場所だから連れて行く人は選んでましたが……
残念なことに、店主のご逝去という形でポエム社はすすきののみんなに惜しまれつつもお別れする事になるですが、毎年夏が近づくと、たまにふとこのお店のことを思い出すんですよね。