飲食店業界でいまだに炎上する「あ、水でいいです」問題について
居酒屋やダイニングバーなんかのお酒と料理を主に提供するタイプの飲食店関係者の間でここ数年よく話題に上がるネタがあります。
それは
お酒はおろかソフトドリンクも頼まずにお水だけで利用するお客さんをどう扱うか?
という問題です。
どういうことかと言うと、例えば焼き鳥屋さんなんかの居酒屋で、料理を注文する際に
店「お飲物いかがされますか?」
客「あ、水でいいです。」
店「烏龍茶などのソフトドリンクもありますよ」
客「いえ!水で!(ややキレ気味)」
こういったやり取りが今全国の酒場で散見されているというのです。
常日頃から、酒場に出入りしている層であるアラフォー以上の皆さんからすると、嘘だろ?って思うかもしれませんが、これ事実です。
しかも、こういったお客さんが月に1人なんていう超レアケースならよいのですが、そこそこの頻度で来たりするんだそうです。
こういった「水だけ客」は、2000年代なかばからチラホラ増え始め、2010年代に入ってから急増しているそうです。
これは私見ですが、スマホやSNSの普及によってインターネットが更に身近なものとなり、一見のお客さんと様々なタイプのお店がショートカットで結びつきやすくなったことが原因のひとつだと思います。
個人経営の居酒屋や飲み屋っていうのは、大体が路地裏にあったり、雑居ビルの中にあったりして、誰かの紹介とかがない限り、なかなか辿り着けないものでした。(かつては)
最初はチェーン店や路面大型店なんかで外食デビューした若者が、少しずついけるお店が増えて来て、そこで店主や常連さんなんかにまた違うお店を教えてもらう、という昔はあったであろう流れや手順が省かれつつあるんだなと感じます。
でも、それそのものを悪く言っても意味のないことです。今現在インターネットで自分のお店が見つからないようにすることは不可能に近いですし、お店が存在する限り飛び込みの新規客は今後も必ず存在し続けます。
酒場のルールを誰にも教わらずにダイレクトランディングして来るわけですから、もしも1ドリンク必須が明言されていない場合、そういう利用方法をとるお客さんが現れても致し方ないことです。
これからはどういったタイプのお店でも、そういった酒場初心者が来店し得る時代だということを、お店側も理解しなくてはなりません。
かつては暗黙のルールだった酒場の水問題
酒場でドリンクを注文するのは、かつては暗黙のルールだったように思います。それは、自然とみんながそうしてくれていただけで、お店側が仕切ってそうなっていたわけではありません。
ですのでそういった暗黙のルールとかローカルルールは、時代や客層が変化すれば、いとも簡単に瓦解する可能性があります。
そういった時代や客層を目の当たりにして、「今時の若者はどうなってるのよ?」とネガティブな気分を溜め込んでいってもお店側としては一つもいいことはありません。
それでもよいと完全に割り切るか、1ドリンク制などのルールを提示してあげるべきだと思います。
「いちいちいわなくてもわかるしょ!そんなもん」は、もはや旧世代の片思いでしかありません。
喫茶店でもある水問題
最近ではこの酒場の水問題に加えて喫茶店の水問題も露見して来ています。
これはどういうことかと言うと、数名で喫茶店に入って来た時に
客A「ホットコーヒー」
客B「あ、私も」
客C「あ、僕はお水で」
という「団体にまぎれたノーオーダー客」のパターンです。
あと、先に利用している上司風の人に呼び出されてあとから来た部下が、何に気を使っているのかわかりませんが
客(部下)「いえ、僕は結構です」
とオーダーを断っている光景を何度か見かけたことがあります。
飲食店を利用するにあたって一人最低限一品注文するという、至極当たり前のことが身に付いてない人が相当数います。
自分の友達や部下、親戚、子供がこうでないことを祈るばかりです。(もしいたら教えてあげましょう。)
ラーメン店やカレー店などの専門店などで、1人分のフードのみを注文して2〜3人でシェアするという人も後を絶ちません。
飲食店は席数が有限なので、オーダーしない人に席を占拠されるということ自体が営業妨害すれすれの行為です。
かつて私が飲食店で目にした恐ろしい光景のお話をしたいと思います。
3人の若い男女が店内に入って来て「あとでもう一人来るので揃ってからオーダーします」とお水だけで過ごすこと1時間。
それだけでも相当恐ろしいのですが、1時間ほどしてようやくその「あとから来るもう一人」と連絡がついたみたいで、なんと一度退席して3人全員で迎えに外に出て行ってしまったのです。(運良く?ちゃんと4人で戻って来ましたが)
普通の感覚なら全員揃うまで、先にオーダーしてそれを飲みながら時間をつぶすんだと思うんですが、そういった至極普通の感覚を3人とも持ち合わせていなかったのです。しかもこの3人飲食店スタッフだったことも後の会話から判明(←ある意味ここが一番怖い)
酒場の水問題も、喫茶店の水問題、ラーメン1杯シェア問題も、この待合せ問題も根っこは同じところにあるのかもしれません。
それは
「飲食店側」の視点が全くない
ということです。
お店は公共施設ではない
飲食店は、席数に限りがあります。席数に限りがあるということは売り上げにもまた限りがあるということです。
もしも1品しか頼まないお客さんが長居したせいで、回転が悪くなり、あとから来た普通にオーダーするかもしれないお客さんが入店出来なかった場合、当然その分の売り上げをお店は失うことになります。
こうしたことが積み重なると、最悪お店が潰れます。個人経営の小さなお店なら尚更です。
飲食店の座席は公園のベンチではありません。
そこには家賃も水道光熱費も含めて様々なお金がかかって提供されている有限の座席です。
飲食店では、お客さんの頼む一品一品からなる利益を積み重ねて、そういった施設を維持しお客さんに提供しています。何も注文せずにそこに座る権利はありません。
そりゃ誰だってお金があったらいくらでも頼んでるよ!っていう意見もよくわかります。ですので、出来ればこうして欲しいなぁと私が勝手に思うマナーを発表したいと思います。
酒場や喫茶店での最低限のマナー
・居酒屋や喫茶店では最低限1杯ドリンクを注文する。
居酒屋や喫茶店は、利益構造自体がドリンク側にある場合が多いです。明言がなくてもドリンクをオーダーしてあげましょう。
・オーダー数に見合わない長居をしない
これは特に居酒屋なんかの話ですが、1ドリンク1フードで2時間も3時間も長居する人がいます。もし自分みたいなお客さんばっかりだったらお店が成り立つか?想像してみて下さい。
・混んで来たら席を空ける
出来れば長居は避けたいけど、居心地よいとついつい長居しちゃう時もあります。混んで来たら席を空けることで、お店側の機会損失の原因とならないことが最低限のマナーです。(ラーメン屋なんかの回転命なフード中心のお店の場合は言わずもがなです。食べたらとっとと退席しましょう。連れが食べ終わるのが遅い場合、混雑してたら席を空けて外で待ちます)
ルールやマナーを守って、あなたの好きなお店を、そして街を応援して行きましょう。
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