(コラム&エッセイ)忘れられないすすきのの名店・迷店 第3回「24時間喫茶 バロン」
思い浮かぶままに、昔すすきのにあった名店、迷店を紹介するこのコーナー。
第3回は、あの24時間レストランについて書きたいと思います。
24時間でレストランといえば、普通はファミレスとかファーストフードとかいわゆる全国チェーン的なお店が真っ先に頭に浮かぶと思います。
でも、すすきのにあったそのお店=バロンは、恐らく他の都道府県には系列店の存在しない単独店だったんだと思います。
バロンは、駅前通りを南8条まで行った丁度鴨々川が郵便局やゼップ札幌に向かって斜行していく所(=現在セイコーマート南8条店のある場所)にあった24時間営業のレストラン。
モーニングやランチはおろか、すすきのの住人を全方位的にカバーしてくれるお店として、数多くのファンがいて、当時すすきので働いていた私もそんなファンのひとりでした。
腹ぺこの時によく頼んでいたのは”オランダカツ定食”(略してオラカツ)。
といっても、要するにトンカツの中にチーズが入っているチーズカツにサラダとライスとスープだかがついた、トンカツ屋では珍しくも何ともないメニューです。チーズ=オランダの理屈が全く腑に落ちませんが、これが結構美味だったのです。
あとは、”コスモポリタン”なる、鉄板パスタの上にハンバーグが載っているメニュー。これまた一体全体どうしてコスモポリズム=世界主義なのか全くわからないというなぞのネーミング&これまた旨い。
勿論、喫茶店のような使い方も出来るので、コーヒーや紅茶、ケーキやパフェもありました。
端の方にはなぞのゲーム機コーナーもあり、怖いお兄さんがアツくなってバッチンバッチンBig Smallボタンを叩きまくっていたり、あと、これまたどういう経緯でそうなったかはわかりませんが、カラオケボックスも数部屋併設されてたり……
このナンデモガラパゴス感が、よりいっそうバロンの不思議な魅力を引き立てておりました。(置いてあるマンガも中途半端でビーバップハイスクールが何故か飛び飛びで置いてあったり)
勿論365日無休なので、大晦日や正月三が日のすすきの中のケーキ屋を捜してもケーキが手に入らないときでも、バロンに行けばケーキにありつくことが出来ました。
そんなまさに不夜城そのもののバロンの話を、すすきの懐かし話に花を咲かせていると必ず行き着くのが
バロン婆さん
のことです。
バロン婆さんとは、とにかく毎日早朝にバロンに来ていた一人のお婆さんのことなんですが、特徴的なのはそのルックス。
髪型が、スネ夫みたいというか、湾岸戦争の時にテレビに出て来た軍事評論家のような、頭の上になんか乗っかってるみたいな髪型で、しかもいつみても居眠りしているんです。
当時かなりバロンに通いましたが、バロン婆さんが入店する所、会計する所はおろか、コーヒーカップに口を付けているところすら目撃することはかないませんでした。
そんなバロンもいつの間にか閉店し、跡地にはセイコーマートが……
元気だったすすきのを象徴するようなお店バロンについて知っている人がいれば、切に情報募集いたします。