音楽と短編映画と油そばと自家製ジンジャーエール。君は「すかんぴん」を知っているか?
西6丁目
いわゆる活気のあるすすきのの中心街の西3丁目〜西5丁目を一つ西に渡ると、途端にディープ色が濃くなる気がする。
その西5丁目と西6丁目の間の通りを南へずんずん進んでいくと、安宿やコンビニ、駐車場とだんだん寂れてきて、南9条通りの少し手前に、突然古民家風の店構えの何屋さんだかわからないお店が現れる。
※すかんぴんさんは、一度閉店し2023年、南8西3に再オープンしました。写真、文章は移転前のものです。
すかんぴん
(南8西6)
ここを見つけたのは、7〜8年ほど前。友人のお見舞いの帰りに喫茶店を探しながら延々中央区の南端から歩いて来て、日曜日だったからかどこもやってなくて、気づいたら南9条通りからすすきのに入ろうと、路地を曲がった瞬間だった。
こんな場所にこんなお店あったっけ?とトワイライトゾーンか世にも奇妙な〜に出て来そうな外観に、一瞬たじろいだものの、カフェバーと書いているのを見つけて、店内に入ってみた……
※すかんぴんさんは、一度閉店し2023年、南8西3に再オープンしました。写真、文章は移転前のものです。
左手にはソファー席があり、ソファー席のテーブルは、アーケードゲームの筐体の上に天板が載せられたもので、右手にはテーブル席。
店内には本やらCDやらDVDやら、昔懐かしのゲームやおもちゃやらが乱雑に置かれていて(店主本人は探し出せるらしい)さながらおもちゃ箱をひっくり返したような様相。
その日は冬だったので、だるまストーブの中で廃材がパチパチと音を立てていた。
なんじゃここは……
攻殻機動隊に出て来る石川似の店主が、「お一人?カウンターどうぞ」と導いてくれた。
注文したブレンドコーヒーを飲みながら、色々な話をした。
店主は同年代で、映画や音楽、漫画、小説から、世代のサブカルネタなどいろいろな話に花が咲き、ついつい時間も忘れて話しまくった。
店主の趣味の幅広さも規格外で、脚本、短編映画、化石掘り、ボードゲーム(実は道内最大級の品揃え)……とおもちゃ箱を優に通り越してびっくり箱かパンドラの箱か?っていう底なしクラス。
しかもこの日に、「読んで欲しいと思った人にプレゼントするために何冊か常備してるんです。」と岡崎京子のヘルタースケルターをプレゼントしてもらった。
すっかりこのお店の奇妙な魅力(失礼)に取り付かれた私は、毎週末のように顔を出して、同じようにこのお店にハマり込んだ常連客達とそれこそ色々な話を肴に飲んだ。
ちなみにカフェバーと銘打っているので、コーヒーなどのソフトドリンク、お酒、そして軽食が用意してある。勿論ノーチャージだ。
オススメドリンクは自家製のジンジャーシロップを使ったジンジャーエール略して”ジカジン”。
ジカジン
銅マグに入って来るのできりりと冷たい!冬はお湯で割ったホットジンジャーも対応可能。
お腹がすいているときは必ず頼むのが
特製油そば
麺はちゃんと麺屋に発注している本格派。
ちなみに店名の由来は、店主が敬愛してやまないムーンライダースのファーストアルバム火の玉ボーイ収録曲から。
すかんぴんは、漢字では素寒貧と書いて一文無しを意味する古い言葉。何も持ってないすかんぴんが思いのままに拾い集めて来た宝の山に塗れにいってみては?
※すかんぴんさんは、一度閉店し2023年、南8西3に再オープンしました。写真、文章は移転前のものです。