(コラム&エッセイ)忘れられないすすきのの名店・迷店 第7回「ナイス」
懐かしの24時間商店「ナイス」
ナイスと聞いてピンと来る人はアラフォー以上?もはや若い人の中には何屋さんかわからない?って人もいるかもしれません。
ナイスは住所でいうと南5条西4丁目すすきののラフィラの南、ライラック商店街西側入り口にあったコンビニエンスストア風の商店です。
恐らく他に同じ屋号の同形態のお店を見たことがないので、完全な個人店だと思います。
24時間営業でジュースやお酒などの飲料類、おにぎりやお弁当、お菓子、雑誌、洗剤などの生活雑貨などなどを取り揃えていて、コンビニが今ほど多くなかったすすきのにおいて、結構重宝する存在でした。
なぜか入って左側の雑誌コーナーの一角にカウンターテーブルのようなものもおいてあり、そこで店内で購入したお弁当やカップラーメンを食べることも出来ました。(いま思えばそこで軽食&一服していたのはボッタクリの客引きのお兄ちゃんがほとんどでしたが)
個人商店だけあって、品揃えの面で歓楽街ならではのガラパゴス進化を遂げており、既存のコンビニチェーンとは一線を画した独自の路線を突き進んでおりました。
★今だからわかる!ナイスのここが凄かった!
その1 領収書や文具などが意外と豊富にある
様々なお店が混在するすすきのでは、いざ営業をしていく上で「あれがない」「これが切れた」などのトラブルはしょっちゅうです。そういった声に対応したのか、ナイスには棚一面分くらいの文具や領収書などのたぐいが取り揃えてありました。
おおよそ飲食店で扱うだろうと思われる生活用品や雑貨類はほぼ網羅していて、しまいには仏壇用の線香やローソクも扱っていました。
★ナイスがあってよかった体験談★
元旦が誕生日だという女の子がいて、当時すすきの近辺ではケーキ屋というケーキ屋がお休みで、バースデーケーキをどこで買って来ようかと困ったことがありました。そこで、24時間年中無休のバロンですでにカットしてあるケーキをあるだけ買い占めて、それを放射線状に並べ直して、何とかホールケーキはゲット。
でも今度はローソクがないってことで急遽ナイスにいって探したところ、ケーキ用のローソクはなかったけど青雲の仏壇用ローソクが売っていたので、それを買って来て蛍光ペンで色を付けてアルミホイルを巻いて出しました。(しみじみ←)
その2 ライムがおいてある
すすきのでバーを営む人にとってライムが24時間手に入るのはとてもありがたい事です。きっちりしたお店なんかは出入りの八百屋や青果店さんがいるので、毎日充分な量のフルーツを入手出来ますが、小さな個人店などの場合は、営業前にいちいちスーパーなどに買い出しにいかなければなりません。
もし注文が偏って、ライムが切れた場合、実はすすきののほとんどのコンビニではライムを扱っていません。
そういう意味でナイスは本当に重宝したものです。
その3 単行本コーナーが充実している
今でこそ新刊や話題の本に関してはコンビニにも陳列されていましたが(それでも物足りないですが)当時のコンビニには漫画の単行本はあまり置いてくれませんでした。コアなムック本や業界誌となるといわずもがなです。
でも、ナイスは売り場面積の4分の1〜3分の1くらいがコミック&雑誌のコーナーで、週刊誌や月刊誌などは入り口すぐのラックに別に陳列しているくらい本が充実していました。
よく本屋の棚に貼ってある”今月発刊のコミックスケジュール表”がわざわざ貼られていたくらいです。
生活時間帯が合わずに本屋さんに行きそびれたりする夜の仕事の人にとって、重要な本の入手ルートだったと思います。(Hな本や謎のビデオなんかも置いてありましたが。)
そんなすすきのの住人に愛されまくりだったナイスもある時突然の閉店が発表され、跡地には無料案内所が二軒と謎のラーメン屋が一軒オープンしました。(今では無料案内所(名案内コナン←)が残されたのみで、あとは開店休業状態です。)
かつてスーパーマーケットの出現でシャッター街と化した商店街のように、ナイスもその役目を終えたのかもしれません。
一方で、今は大量仕入れ大量消費の形態が衰退して来て、個人商店や小さな会社の専門店が元気だという声も聞きます。
今こそすすきのならではのガラパゴス進化を遂げた歓楽街特化型商店=ナイスの復活の狼煙を上げるべきではないでしょうか?