キラーメニュー?お店のウリを決めよう!すすきので独立開業する時の第14歩目
これまで、お店の物件探しから宣伝に至るまで、色々とお話をして来ました。前回のリピーターのお話なんかは、これから開業するという人以外にも関係のあるはなしだと思います。
繁盛店と呼ばれる成功しているお店は、これまで積み上げてきたリピート顧客=常連さんが日々来店して賑わっているうえに、オープンしてそれなりに年月が経っているにもかかわらず、新規のお客様も確保し続けています。
こういった成功しているお店にはどんな共通点があるでしょうか?今日はそういうお話をしてみようと思います。
わかりやすいお店のウリを作る
試しにあなたが好きなお店の特徴をいくつか挙げて見て下さい。自分自身が何度も脚を運んでいるお店には必ず「わかりやすい特徴=お店のウリ」が存在するはずです。
飲食店において、よく出て来るお店のウリには、以下のようなものがあります。
(お店のウリの一例)
・価格が安い。・量が多い。・盛りつけがキレイ、可愛い。・飲み放題や食べ放題がある。・立地がよい。自分の行動範囲の近くにある。・珍しいものが飲食出来る。・専門店である。・店主が面白い。・いつもお客さんで賑わっている。…..
自分でお店を始めるとしたら、どういったウリを設定すればよいでしょうか?
価格が安いだけではジリ貧?
価格を下げるという行為は、最も簡単に作ることの出来るウリの一つです。
でも、よく考えてみて下さい。他のお店と同じ材料や仕入れ価格で価格だけを安くしてしまうと、当然儲けの部分が減ってしまいます。価格設定を誤ると売れども売れども儲からないという状態になる可能性もあります。
自分で利用してみて「安いな」と感じるお店の全てのメニューが安いわけではないということに気づかなくてはなりません。
大体にして、安く感じるお店は、お酒(もしくは一部のお酒メニュー)や飲み放題が安いお店だったり、フード(もしくは一部のフードメニュー)が安いお店だったりします。
また、飲み放題や食べ放題などは、一人一人の飲食の量に応じて原価率は当然変動します。沢山の人数に利用してもらってその数字を目標値にならしているのです。
居酒屋やダイニングでは、コース料理というプランを設けているお店が多いです。これは宴会などの団体客を取り込むという目的のために、アラカルトで注文するよりも安いセットプランを用意しているのです。
ですので、原価率的には単品のそれよりもやや高くなってしまいます。その代わりに大量仕入れ、大量仕込み、配膳や注文などのオペレーションを単純化できるし、何より団体客を取り込むことで、一定以上の売り上げを確保することが出来ます。
しかも団体客は、気に入ってもらえば後日の単独や別口の団体での再来店も見込める可能性もあります。
一見、お店にとっては損に見えるコース料理や宴会プランは、そういう立体的な目線で考えて価格や品数や分量を設定しないと、コース利用客も気がつかない”ただメニュー表にあるだけ”の存在となってしまいます。
この、一部分で損をして(逆に言えばお客様側に得をさせて)全体的な得を得るというものの考え方が出来るようになることで、お店のウリの考案が柔軟になって来ます。
EDLPという言葉をご存知でしょうか?これは、Every Day Low Price の頭文字をとったものです。日本語に訳すと「毎日低価格」という意味ですね。
ディスカウント型のスーパーなんかでよく目にする言葉です。では、この形態のお店は価格を下げるという損の変わりにどんな得を得ているかと言うと、「宣伝やチラシに経費をかけない」という得をとっているわけです。
あえて損を設定してお徳感を演出する。
例えば、ドリンク数種類だけ安いけど、他のメニューは普通の料金だったりとか、飲み放題を利用しやすい価格や時間で設定することで、全体的にお酒が安いお店という印象を作ることが出来ます。
また、前菜やおつまみ系の比較的安価なメニューを多めに用意すれば、フードが安いお店という印象を作ることも出来ます。
要するに、各メニューのポーション(一皿あたりの量)や原価率をまばらにしてでも、お徳感やコスパを演出することで、同じメニュー品目でも随分と差が出るわけです。
他にも、これぞなメニューで盛りを多くして、ここに来たんならこれは頼んどかなきゃね的なメニューを用意するのも効果があります。
看板メニュー=キラーメニューを作る。
飲食店を数年やっている知人がいるなら是非とも聞いてみて欲しい質問があります。
「新規客ってどうやって獲得しているの?」
この問いに対しては
「わからん!ていうかこっちが教えて欲しいわ!」
という質問返しが、かなりの高確率で返って来るでしょう。
前回も述べたように、その安定して獲得することが難しい新規客を逃してしまっては、お店を続けていくことが出来なくなります。ですから、運良く獲得できた新規客に、お店の魅力を知ってもらうために、看板メニューを用意することをお勧めします。
看板メニューとは、絶対にオーダーして欲しいそのお店の顔となるメニューのことです。
自分のお店で設定した客層が、オーダーして飲食して満足し、出来ればそれを人に伝播したくなるようなメニューを作れるか?お店の成功はここにかかっていると言っても言い過ぎではないかもしれません
キラーメニューの作り方
・客層に合わせる
例えば、客単価2500円くらいの居酒屋で、ブランド和牛のローストビーフ100g1000円という看板メニューを出しても、折角の安さが伝わりません。(本当にその価格で出せるだけの仕入れ力があるなら業態自体変えた方がいいですね。)
ですので、業態や単価から想定される客層のお財布事情と好みの味付け、ボリュームを理解してメニューを作成する必要があります。
・太っ腹度が勝負!
キラーメニューはお店で最もよく出るメニューを目指して設定しなくてはなりません。消極的なセコい内容だと、お店そのものもセコいという印象を受けてしまう危険性もあります。
大量仕入れ大量仕込みで「この価格でこの量ならマジでお徳!」と高コスパの印象を受けることで、お徳感を演出することが目的です。
・オペレーションを想定する
これぞなキラーメニューは当然、お店で最も注文されることになります。ですので提供までどれくらいの時間がかかるか?一度に何皿分作ることが出来るか?などのオペレーションの部分を確立しておく必要があります。
・メニュー表でもしっかり目立たせる
初めて来たお客様にもはっきりとわかるように、メニュー表でも大きな写真を載せたり、印を付けたり、ポップを設置したりして、そのメニューに誘導する仕組みを忘れずに。オーダーを伺うホール係にも自然に嫌みなくお勧めするトークを教育しておくとよいでしょう。
キラーメニューが新規客も呼ぶ
最近は、お店の看板メニューを注文してSNSに投稿する人が増えました。スマホ普及の賜物と言っても良いでしょう。
つまり、SNSに投稿してもらえるようなフォトジェニック感のあるメニュー(写真に撮りたくなる、タイムライン上で目につきやすい)を用意することで、話題になり、それを通じて新規客を獲得することも出来ます。
原価率高めのメニューでも、失った損失を補ってあまりある得を得ることが出来るのです。
★お店のウリ=キラーメニューのまとめ
・繁盛店には「お店のわかりやすい特徴=お店のウリ」が必要不可欠
・安いだけではじり貧になってしまう
・損をして得をとる戦略を知る
・看板メニュー=キラーメニューを設定する
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