隠れない隠れ家 札幌すすきのを代表する老舗カフェ「ZAZI(ザジ)」
10代の頃は、コスモの地下のおにぎりやさん(おきの)に行くのが楽しみだった森泉です。まだ街中に手頃な値段のお店が少なかった時代です。
「カフェ」という言葉を誰も使っていなかった昭和51年創業の老舗喫茶店「ZAZI(南2西5)」
狸小路4丁目と5丁目の間を大通り側に曲がるとZAZIはあります。入口が歩道から少し下がった半地下になっているので、見落としている方が多いかもしれません。隠れてもいないのに「隠れ家カフェ」と言われることもあります。
隣は珈琲舎オットーとラーメン大公です。ラーメン大公の黄色い看板を目印にすると見つけやすいかな。
この日は友人と待ち合わせ。早く到着したので2階席で友人を待ちました。2階はアンティークのキャビネットが置かれディスプレイもすべて昭和当時のままです。
コーヒーはフレンチとアメリカンの2種類。1階の雑誌コーナーから「暮しの手帖」などをお借りして、ていねいな暮らしをしている女性っぽく待ってみたのですが…。綺麗な誌面を眺めることにすぐに飽きてしまいました。スマホで「がるちゃん」を読んで時間をつぶすという、このお店に一番似合わない方法で時間を過ごします。
友人が到着したところで料理を注文。メニューは昔から変わりません。コラージュで手作りされた冊子は当時としてはとてもハイセンスだったのでは。お酒もありますが早い時間から飲んでいる人はあまり見かけないかも。
店名がついたZAZIミートは和風ミートソースです。ソースが濃い目なので、卵黄を崩して紫蘇を絡めて食べるとまろやかな味に。
コロッケセットはカニクリームコロッケに目玉焼きが添えられています。バターが塗られて軽く焼かれたパンは、甘みがある優しい味。カニクリームコロッケはしっかりした重めのホワイトソースがたっぷり詰まっています。
セットに選んだドリンクはパワードリンク。フルーツ牛乳のような甘い味のジュースです。
ZAZIと言えば一番の人気メニューはシチュウ!ここでは「シチュー」ではなくて「シチュウ」です。
ホワイトソース系とブラウンソース系があり、きのことチキン、茄子とミートチーズ、かぼちゃクリームなど全部で6種類。ずっしりとした重めのクリームタイプではなく、素朴であっさりとした味です。
ホーローの小鍋に入った熱々のシチュウに添えてあるのは、やっぱりふかふかの丸パン。まだ寒かったこの日はシチュウを注文している方がたくさんいました。
「ZAZIといえばあれが食べたい!」という話を友人とすることがあります。
ですが好きなものがそれぞれ違う。
シチュウやZAZIミートはもちろんですが、パワーランチにハンターズライスなどちょっと名前を聞いただけでは想像できないセット、コーンスープスパゲティ、ヤキニクスパゲティなど珍しいものもあります。
カフェメニューもパフェやケーキなどの品数が豊富。中でもダークラムナッツココナッツチョコレートはぜひ食べて欲しいです。
どのメニューも捨てがたいのに、いつも同じものを食べてしまうのはなぜでしょうか。それはいつでも来られると思っているから。いつまでも変わらずにいてそこに居てくれることに感謝です。
(文と画|森泉サヲリ)