短い夏を精一杯満喫!すすきの最大の夏イベント すすきの祭り体験レポート
先週土曜日、うだる暑さに呻きつつソファーに寝転がりながらリオ五輪の開会式を見ていたとき、とある筋から携帯電話に連絡が来た。
「おう、おごってやるから、これからすすきのに出てこいよ。どうせ缶ビール1本買うのにも困ってるんだろ」
グヌヌ…よく御存知で。
そうなのだ。部屋でウダウダしていていい日ではないのだ。
なにせ、今日はすすきの祭りの最終日。
テレビを見ていたって心も体もずっとすすきのを向いていた…のだが、いかんせん軍資金が無さ過ぎて今年は諦めていたところに、渡りに舟の、鶴の一声の、蜘蛛の糸のお呼びが掛かってきたというわけだ。
「へへぇ~。是非お供させていただきやすぅ~」
と、電話の主である金券主様我が良き友に何度目になるか覚えていない決め台詞を投げるのだった。
すすきの祭りとは、毎年8月第1週あたりの週末に、すすきのの繁華街が歩行者天国となって、出店屋台や様々な催し物が行われるお祭りです。
夕方5時、地下鉄すすきの駅から地上へ出ると、駅前通りは車両規制がかかり歩行者天国になっていた。
祭りは始まったばかり。まだ歩くのには困らない混みようだ。
東西の路地に出店が並び、乾杯の音頭や焼き鳥を焼く音、呼び込みの威勢の良い声などが響く。
合流予定のブースへ行くと、さっそくフードをありったけ買ってはビールを流し込んでいる金券主友人を見つけた。
「おう、待ってたぞ。好きなだけやってくれ」
友人は顔が広い。どうやら、すすきの関係者から祭りの金券を購入したのはいいが最終日まで残ってしまった分を一気に消費しようということらしい。
そういうことならば力になろうじゃないかと、まずはビールを注文する。そしてアテには枝豆、焼き鳥、味噌ホルモン煮に焼きそばだ。祭りの出店とあなどるなかれ、どれを食べてもうまい。
もちろん、祭りの活気や特別感にのまれて感覚的に味が上がるというのもあるだろうが、思うにおよそ100軒も出店が並ぶ恒例行事、下手なものを出したりしたら客をすぐに取られてしまうから、そこらへんは抜け目がないのじゃないだろうか。
とにかくうまいのでビールがすすむ(奢りというのもあるが)。
2、3杯は飲んだろうか。
いつの間にか人でごった返してきた。もはや出店の席はイス取りゲームの様相と化し、路上を歩くのもままならない状態だ。
やはり、すすきのはこうでなくては。熱気に溢れ、笑いながら酒を楽しむ光景。
(これはどの歓楽街にも当てはまることだが)悲しいかな全盛期と比べると勢いが衰えてきていることは否定できない。平日などは特に顕著に表れていたりする。
が、どうだ。この人、人、人。
浴衣で着飾ったホステスとラフな格好のお父さん。
子どもを肩車して歩く夫婦。ほろ酔いで肩を組んで早くも千鳥足の若者連中。そんな市井の人々ですすきのは埋まっていた。
最終日なので名物の花魁道中はないが、数々のお神輿が駅前通りを雄々しく練り歩くのが見えた。
大人も子どももワッショイワッショイと大声を出して汗を飛び散らせている姿は特に印象的だ。
北海道の夏は短い。すすきの祭りはそのターニングポイントのような位置づけだ。
こんなに盛り上がるのは「短いからこそ大いに楽しまないと」という意識が働くからかもしれない。
そんなことに思いを馳せながら飲んでいたら、金券主友人の頼みの金券を使いきっていた。
楽しい時間はすぐ過ぎる。いつもの「出世払いで」に対して、いつもの「アテにしていない」の回答。
金券主様我が良き友よ、来年こそこっちが奢るからねと独りごち、すすきのを後にした。
(文と画|北野エイダ)